時事、イギリスのEU離脱
損得勘定の問題なのだろうか。いや、日本からは見えない現地の肌感覚があるはずだ。少なくとも今のEUの制度は域内の関税が自由だから、生産能力の高い国が一人勝ちするシステムだ。だから事実上のEU=ドイツ共和国が成立している。
仮に、もし、で想像をたくましくすれば、同じ地域に日本がいてもガチ勝負になるかは未知数だ。それは日本がアジア人だからである。日本はいつもこの白人村からの迫害に対抗する形でがんばってきたのだ。太平洋戦争もそうだ。日本が開戦した時点で、殖民地化されていないのは日本とタイのみだった。その二つともが未だに国王を持っているのにも理由があるかもしれない。あのとき日本は、殖民地になるかどうかを白人村から迫られていたのだ。最終的に世界支配から凋落のただ中にあるイギリスのチャーチルにはめられる形で、アメリカと日本は戦争することになった。(この辺の経緯は実に様々な考え方があり解釈の仕方は人それぞれということにしておいてもらいたい。)そう、戦争したかったのではなく、植民地がいやならそうするしかなかった。が正解だ。
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Data Source |
2015(%) |
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1 |
Luxembourg |
214 |
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2 |
Hong Kong SAR, China |
201 |
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3 |
Singapore |
176 |
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41 |
Germany |
47 |
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42 |
Korea, Rep. |
46 |
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53 |
Euro area |
45 |
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90 |
Italy |
30 |
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94 |
France |
30 |
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97 |
Armenia |
30 |
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98 |
Russian Federation |
30 |
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101 |
World |
29 |
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116 |
United Kingdom |
27 |
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139 |
China |
22 |
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158 |
Japan |
18 |
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170 |
United States |
13 |
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179 |
Sudan |
7 |
統計末 |
だからなのか、個人的に今回の離脱にかんしては驚きがなかった。
もともとイギリスはシェンゲン協定(自由な入出国)には加盟せず、通貨協定にも入っていなかった。経済協定(関税フリー)のみだったのだ。ところがこの関税フリーはすごく大きい。なにせ貿易に関しては国内感覚だ。ヨーロッパ大陸では通貨も共通だから経済に関してはまさに国内感覚。じゃあ、純粋な国内と何が違うのか。
「富の再分配」がないのだ。
日本に例えれば、東京一局集中で労働者がどんなに集まっても、税金(集められた富)は全国津々浦々に再分配するシステムがある、分配の仕方に不満はあってもそれを決める議員は国民の投票によって決められる。完璧ではないが、まだ納得できるところがある。ところがヨーロッパではそれができない。移民を受け入れてガンガン生産してヨーロッパ中に製品を売りたいとする。もちろん競争だから強い国と弱い国が出てくる。そしてダントツで生産力が強いドイツが一人勝ちしているのが今のヨーロッパなのだ。もともとフランスが仕掛けて、ドイツと一緒に同じことをしようと企んだのに、やはり実力の差が出てしまった。
真面目にコツコツやる国には勝つことはできない。これは絶対的な法則だ。
ドイツはかき集めた富を再分配しない、というよりも今のシステムではできない。皮肉なことに、ヒトラーが実現しようとした第三帝国が経済面では実現してしまったのだ。となると、ドイツずるい!となってしまう。だから再分配しないのなら代わりに移民受け入れろ!となるのだ。予想通り国民の反発が起き、受け入れはストップしている。途中経路のトルコには移民が滞留して、踏んだり蹴ったりだ。えっ、ドイツが受け入れるんじゃなかったっけ、状態。イギリスはドイツ、ずりー、状態だから、ドイツさんよろしく。だと思っていたら、イギリスも受け入れろ。ときた。生産力で逆立ちしても勝ち目ないのに、プライドは高いから、面白くない。
事実はもっと複雑だけれど、ヨーロッパの混迷はしばらく続くし、長引く。なにせヨーロッパの中でもドイツとイギリスの中国投資が抜きん出ているからだ。中国が調子悪くなれば呉越同舟だ。
イギリス経済を見る際のキーワードはヨーロッパだけではなく、中国も入れるべきだろう。