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Consideration of an office worker living in Tokyo

品川インターシティーで人なつこい雀に出会う

品川インターシティーのカフェの外で2時間ドラマのプロッット分析をしていた。

唐突にプロット分析といっても?だと思うので噛み砕くと、テレビドラマや映画などの脚本になる前の「筋書き」のことだ。それをプロットというのだが、最近の筋書きはほぼ詳細まで書かれていて、いきなり脚本の準備稿に取りかかれるように書き込まれている。通常は大筋、中筋、詳細(往年の言い方だと、大箱、中箱、小箱)と段階を踏みながら進めるのが常だったらしいのだが、最近の傾向として作り込みのスピードが昔とは雲泥の違いで、いきなり作り込まれた筋書きがプロデューサーに集まり、首尾よく決まると一気にドラマ作りの工程に進むらしい。

 

脚本そのものは趣味として5年ほど前に通信教育でシナリオセンターの講座をとっていたのだ。しかし東北震災の一件から一旦ストップしていた、というよりも止めていた。でもどうしても復活したくて、どんな感じで始めようか、というつもりで資料を漁りながらストーリーに入り込む練習をしていたのだ。

 

で、やっと本題なんだけれど、品川インターシティーの中庭って結構立派な人工林になっていて、気持ちがいいので時々来ていたのだ。そこで火曜サスペンス劇場の「女優」のプロットを眺めならが筋をつかむべくPCと向き合っていたのだ。そこで突然あわわれたのが写真の雀だ。

 

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ところがだ。この雀。ちょっと近すぎるのだ。人懐っこいにもほどがある。私と目があっても動かない。もちろん私から雀にちょっかい出すまでもなく、じっと見返すのみなので、その気配を感じ取っているとしたらすごいなこの雀。と思っていたのだが、すぐに考えを改めた。おそらくこの席は餌をくれるお馴染みさんがいつも座っているので、慣れてしまっているに違いない。と思いなおした。でも、日本てすごいね。こんな感じで近ずいても、マジで危害を加えようとする人間が本当に少ないのだろうということだ。人が違えば絶対に危ない距離まで近づいてきている。

 

まあ、雀にあなたは安心できる人だと言われた気分がして、ほんわかした気分になった。一羽の雀とのコミュニケーションでこんなにもいい気分になるなんて、コミュニケーション恐るべしだ。

 

また行ってみようと思う。今度はパン屑でも持っていってみようか、と思う今日この頃です。

 

 

久しぶりにレインボーブリッジを歩いてみる

何年ぶりだろうか、今となっては老人の歩け歩けコースの定番となってしまた、レインボーブリッジを芝浦からお台場まで歩いてみた。

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それにしても相変わらずすごい交通量だ。でもって不思議なのが、たまーに酎ハイ片手にふらふら歩いている俺らとは違い、毎週のように走ってます的な方々の多いこと。そしてそれより多いのが、元気老人の歩け歩け部隊だ。

まあ、個人の自由だから、あんまり噛み付いてもね。飲みながらふらふら歩いている俺らのほうがどう見ても異質だし。。。

 

とまあ、真ん中あたりで以前はなかったスカイツリー探しを楽しんだりと、晴天のレインボーブリッジはいいねぇ。

今回は話題沸騰中の豊洲市場をまじかで見ながら、時事問題も花開き、飲んだくれ部隊はお台場に向かいます。

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俺らはというと、お台場の降り口にあるマイバスケットで買い出しをしてお台場側の防波堤でランチとなりました。

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上野公園の野音に行く前にアメ横プラザの魚草で酒を

久しぶりに古巣の会社のイベントに顔をだしてみた。
久しぶりにと言っても、辞めてから10年経つので、一昔前だ。で、なんのイベントかというと、その会社が企画運営している音楽家向け賃貸住宅の宣伝イベントだ。
というわけで上野公園の野外音楽堂に。せっかく上野公園にくるのでアメ横に寄ってから行くことにする。
 
アメ横プラザの魚草へ。
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うまそうな牡蠣と日本酒。昼飲みは回りが早くてクラクラする。
それにしても三陸の牡蠣、ぷりっぷりだ。日本酒も甘目から淡麗まで一揃いあり、好みで飲みわけられる。ワインもあるので牡蠣は白ワインで流し込んだ。
マジで幸せ。
 
で軽く酒が回ってから上野の野音へ。結構大きんだね。しかも屋根付き。これなら雨でもイベントできる。
 
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それにしてもわたしが仕込んだ音楽マンションが竣工してからすでに10年が経つ。ちゃんとマンションブランドも残っていたし、ロゴもリニューアルされずにそのままだった。嬉しいね〜。ブランドそのものは拡大しているそうなのだが、わたしが仕込んだ分譲版は1件のみとのことだった。地主さんへの企画運営支援の賃貸版が主流らしい。
軽く補足しておくと、ここでいう音楽マンション、とは、見た目普通の分譲マンションなのに全住戸に24時間演奏可能な部屋がついているマンションだ。いまだにこの物件以外に聞いたことがない。他に24時間は無理だが十分大きな音を出せる賃貸シリーズもある。こちらの方が数が多い。
 
たしかにブランド認知拡大なら企画運営支援が合理的だ。
分譲の最大のリスクは投資と回収だ。なにせマンション事業は原価9割という、超ハイリスク事業なのだ。ただし、投資額そのものが大きいから、売り上げのグロス(金額)と粗利が見込めるので、不動産業的には止められない事業なのだ。
 
さらに賃貸事業も、自分たちで持つだけではなく、地主さんの支援なら「持つ」リスクは地主さんになる。売り渡したくない地主さんも所有したまま企画運営ノウハウをもらえるのだから、winwinの方法だ。ネックはフィービジネスなので売り上げが分譲に比べ小さいことだろう。
 
でも、分譲、賃貸両方メリットデメリットを使い分けることができれば、一本足打法にならずにすむ。
 
話は逸れたが、
懐かしの面々にごあいさつして演奏を観覧。
古巣から元気をもらった週末となった。
 
 

長時間労働 裁量労働制と年功序列の比較

う〜ん。電通の一件で長時間労働が問題になっているけど、案の定マスコミは総攻撃かと思ったら、意外な展開だ。つまりマスコミ自身のオピニオンとして出しているところ、見かけましたか?
一応触れているし、コメントも添えられて入るものの、遠回しでなんか奥歯に挟まったような言い方。そしてその代わりとばかりに、反対派の意見をしれしれと報道している。

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 (夕暮れの東京。ブラック企業時代はここから夜の部がスタートって感じでした。)
 
そりゃそうでしょ、マスコミそのものが長時間労働の巣窟なのだから。まあ、広告・放送も同じくくりですよね。タイムテーブルに26時とか書いてあってもね。感覚が違う。
そもそもマスコミは例外があるかもしれないが、通常は裁量労働制の労使契約だ。で、この裁量労働制って何かといえば、労使契約によって、1日の労働時間を固定するっていうものなんです。例えば1日何時間働いても、日当たり10時間働いたことになるってことです。その時間を契約で縛るわけです。そして大体の場合、成功報酬制とリンクしているところが多いのではないかと思う。
かくいう私もその契約の餌食になったことがあり、それまではスポーツニュースのプロ野球の契約更改で記者会見などで毒吐いている選手のインタビューを見るたびに、他人事だったのが、突然彼らの怒りが手に取るようにわかるようになったのです。金額こそ違えど、年収やボーナスの交渉をする度にいや気がさし、その会社からさっさと転職してしまいましたが、日本のダメな部分(評価が下手くそという意味で)が本当に出ていると思います。
だからと言って年功序列もダメダメなんだけど。。。
 
なんで外資系の給与が高いのか
不思議に思ったことありませんか?よく、外資系って聞くだけで「給料高いでしょ」なんて話を内輪ですることがあるのではないでしょうか。構造を単純化するとすぐに納得できるでしょう。
①基本的に社内で働いていない人間がいない(電通は該当しますね)
だから働いていない人の分は給与として分配できるのです。常に2割〜3割新陳代謝(入れ替え)していれば、基本的に即戦力で出来る人間で組織されるのです。だからただの年功序列で1000万越え何てことはありません。常に結果出しているかどうかが重要なのです。その分日本のように足の引っ張り合いというよりも、自分の実力UPのための努力には、リスペクトする点はあります。
とどのつまり、結果を出せない人間は退場です。もちろん契約の範囲で。だから日本みたいにペラペラの契約書ではありません。きちんと条件が記載されています。そうでないと裁判で争えないからです。
②①の契約書には成果の査定方法が記載されています。なので下手するとボーナスがなかったりするし、逆に途方もない金額が転がり込んでくることもあります。
 
年功序列=終身雇用は上記の逆なのです。
①結果を出すかどうかよりも、年功序列で全てが決まる。だからできるだけミスしないように事なかれ主義に収斂するようになります。
②契約書が事実上ない。成果の査定方法が曖昧というより、記載もされていない、というよりそもそも契約書見たことあります?
③時間を管理するのは組合と会社との団体交渉。組合のない会社は悲惨です。契約がないので、法律以外に守ってもらえません。交渉なんて夢です。このあたりは最近変化の兆しありですが。
 
まあ、終身雇用の悪口ばかりに聞こえるでしょうけれどいいところもあります。なにせ会社は簡単にクビにできないので、仕事に集中できるというのが大きい。いつクビになるかわからないって、すごいストレスです。日本人弱そう〜。
 
まあ、世に言うブラック企業裁量労働ですらなくバイト契約で長時間だったりするから論外だけれど。
 
さて、裁量労働年功序列を端的に比べてみると、
(わかりやすくプロジェクトの3要素。品質、コスト、時間で)
 
労働時間
これは裁量労働のほうが長くなる傾向にあります。これまでの年功序列だと法律で上限が決められているのでそれ以上はできません(ということになっています、、、)。でここにいち早く切り込んで大失敗した企業が富士通でした。いろいろな意見があると思いますが、日本人に合わない、と決めつけるのはどうかと思います。あくまでも個人的な体験からなのですが、ただ単に契約の結び方、査定の方法がダメだったのではないかと想像しています。(※様々な書籍で検証されているので紹介しておきます。)かくいう私も事業設計企画職で長時間労働をやっていましたが、100時間「超」はルーチン(標準時間)でした。忙しい時にはもちろんそれに上乗せです。作業そのものも多いし、アイデアを形にするのはものすごいエネルギーと時間がかかる。そんなの人によりけりだから、簡単に査定できません。マジできつい。

 

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

 

 

 
品質
うーん。日本式が一定の成果を上げているのは事実ですので単純に甲乙つけるのは難しくなります。
(いわゆる職人芸が必要とされる場合)日本型はどちらかといえば物向き、と私も考えていましたが、サービスにも職人芸があります。
日本でいう職人、ドイツのマイスター。いろんな専門職がありますが、これは長く続ける必要があり、どちらかというと年功序列+徒弟制。この辺が日本人にぴったりなのが不幸(見方を変えれば幸福)の始まりなのかな。もちろん職人として手に職をつけてしまえばその業界では生きていくことが可能。日本人はそれをどんどん機械に置き換えているので、近い将来ブレークスルーしちゃう可能性がある。働いているのは基本ロボットです、なんていう世界がすごそこまできている。おそらく、日本、ドイツ、アメリカ(工業化の基礎を担っているのはドイツを始めとする移民)はその先頭に立つ可能性が高い。つまりアセンブリ(組み立て)だけじゃなく、すり合わせ、が必要。
(新規事業を立ち上げて成果に収斂させる)
こちらはどちらかといえば裁量労働に軍配。考える力=ロジカルシンキングが必要。わかりやすいのが放送・広告業界。とにかくアイデアを出しまくってそのうち1つ2つがものになるパターン。しかも思いついても気の遠くなるプロセスをくぐり抜けてやっと形になる。よく、アイデア一発のように捉えられがちだけど、気の遠くなるロジカルシンキングの向こう側にアイデアが生まれる。これは経験した人なら分かると思います。とことん突き詰めてみて、散々失敗した先に、現れるんです。
無限の失敗の上に成り立つ成功。こちらは本当にきつい。俗に言う千三つ(0.3%)。スポーツもそう。成功する人なんて限られた人のみだ。
広告に話を戻すと、喫茶店でアイデアを考えていても仕事といえば仕事だし、傍目にはプライベートとも言える。しかもやった分だけ成果が出るかどうかはわからない、ときた。つまり一日中仕事している時すらあるのだ。で、成功しても正当に評価されるかはわからない。アイデアだって上司によって全然評価が違う。ずばり、あたりはずれがある。その辺は実力(実績と才能)のない上司に何言われてもへこたれない胆力が必要です。
 
コスト(原価と利益)今回は人件費でみてみると、
どんな場合でもこのお金には悩まされます。
年功序列の場合、能力の低い人や働かない人、結果の出せない人も一括りにして安定するバランスを保っている。その点では非常に日本的だ。ダメな人にはラッキーだし、できる人には(悪い意味で)たまらない。今まではそれで良かったのだが、どうも最近雲行き怪しい。
裁量労働の場合、できる人にお金が集まるシステム。セーフティーネットは寄付や教会によって担保される。
プロジェクトコストでみると裁量労働=契約重視→プロセス重視のほうがクリアな感じだ。日本式の予定調和だと最近事例に事欠かないような気がする。繰り返すが、成長著しい上り調子の時はそれでも良かった。でももうその時代は終わったのだから、新しいシステムを世の中は求めているように感じます。
 
まあ、最終的な結論はもっと先にならないとわからないと思うんだけど、裁量労働制=欧米型、を経験した身から言えば、いくら契約通りとはいえ、業績評価により今回のボーナス0円ね。はさすがにきついです。
個人的な希望ですが、年功序列=日本式をブラッシュアップしていったところに回答があるのではないかと感じている今日この頃です。
 
 
 
 

10月歌舞伎公演 通し狂言 仮名手本忠臣蔵 を国立劇場で観てきた

久しぶりの歌舞伎だ。5年以上前になるが、確か中村吉右衛門の討入前夜のお話だったと記憶している。吉良邸の隣で起きているてんやわんやの顛末を吉右衛門好演のもと大変楽しんだ。

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今回はというと、通し狂言の三部作の第一部ということで、

大  序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場・・・吉良が他人の女房にちょっかい出し
二段目 桃井館力弥使者の場
     同   松切りの場・・・庭の松を切ってがまんがまん
三段目 足利館門前の場
    同   松の間刃傷の場・・・吉良が浅野をいじり倒してプッツン
    同   裏門の場・・・裏門で乳繰り合ってた家来は何がどうした?
四段目 扇ヶ谷塩冶館花献上の場
    同   判官切腹の場・・・切腹の場で「由良之助はまだか」
    同   表門城明渡しの場

と、いわゆる「ことの起こり」までの物語だ。

 

今回の公演は国立劇場で2016年10月27日(木)まで。若干の空席があったので、まだの方はチャンスあるかも。

 

今回は松の廊下から腹切までがクライマックス。そして城明け渡しで幕だ。

 

幸四郎のタメのある演技も、現代劇に積極的にでている人ならではという感じ。とってもフレッシュだ。このあたりはオールドファンにはしかめっ面の人もいるかもしれないが、かぶいてなんぼの世界なので個人的には好感しました。

 

冒頭の鶴ヶ岡は鎌倉の八幡宮だ。ステージ左手には大銀杏があり、八幡様のアレです。

そこでいわゆる吉良が他人の奥さんに横恋慕するシーンから始まる。まあ、吉良の浅野いじめには諸説あるものの、大衆受けしやすい横恋慕を発端とするあたりは歌舞伎っぽくて面白い。

 

そうそう、配役はこんな感じだ。幕府からは同時代の事件を取り上げることを禁じられていたので名称は今と違っている。

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塩治判官 中村梅玉・・・浅野内匠頭・・・判官びいきの語源とも、

高師直 市川左團次・・・吉良上野介

大星由良之助 松本幸四郎・・・大星由良助

個人的には道化役の鷲坂坂内を演じる市村橘太郎のひょうきんな演技がアクセントになってよかった。

 

幕間のランチ。幕内弁当はここが語源かな?

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それにしても3ヶ月通しで見れないのは残念だ。

できれば単発でチケットゲットして続きを見に行きたい今日この頃です。

 

映画|マネー・ショート The Big Short

2007年のサブプライムローン 破綻の物語だ。
監督:アダム・マッケイ
出演:マイケル・バーリ役:クリスチャン・ベール
   マーク・バウム役:スティーブ・カレル(スティーブ・アイズマンがモデル)
   ジャレッド・ベネット役:ライアン・ゴズリング(グレッグ・リップマンがモデル)
   ベン・リカード役:ブラッド・ピット(ベン・ホケットがモデル)
と、かなり実在の人物を下敷きに物語を作り込んでいる。
もちろんサブプライムローンの破綻もリーマンの破綻も実際の事件なので、いわゆるバックストーリー(背景)物だ。
それにしても、日本のバブルをバッカじゃねーのってアザ笑っていたウォール街が、同じ住宅バブルでドッカンなんて滑稽だけれど、バブった背景は違っている。日本の場合は1985年のプラザ合意で切り下げられたドル、円から見ると240円から120円にしてアメリカが日本の貿易黒字を半分にしちゃえってことだったんだけど。レーガン大統領に無理やり飲まされたとはいえ、さすがにやべーと思った日本政府は金利を上げると不動産バブルがドッカン。気がつくと一人当たりの所得がアメリカを超えちゃったのが日本のバブル。
 
で、アメリカの場合は同じ住宅でも高利のローン債権によるバブル。確かに日本も借金しながらの投資ではあったけれど、アメリカの場合は借金できない人への住宅ローン融資が元凶。そういった債権はサラ金並みの評価なんだけど、日本でいう住宅金融公庫のような優良債権とカクテルにして、さらにレバレッジをドン(100万円で2000万円投資できますとか)、した怪しい債権セットを大手債権会社が売りまくっていた。そのうち1社のリーマンブラザーズは無くなっちゃった。
日本はレバレッジなしの住宅の債権だけれど、アメリカは債権をレバレッジきかせてカクテルにした債権のバブル。やばいのはどっちかは明らかだ。
 
そしてごく少数のキーマンがそのヤバさに気づいて、空売りしまくるってのがこの映画のストーリーだ。みんな買いまくっている時に、高い手数料で空売りしまくっているわけだから、まあ、誰からも相手にされない。もし自分だったらどうしているかと考えると、その他大勢と同じように大損ぶっこいてるんだろうと思うとちょっとこわい感じがする。日本のように自分の投資が吹き飛ぶどころの騒ぎじゃなく、100倍200倍のレバレッジで借金しちゃうことになるからだ。
 
そうそう、実在の人物をモデルにしているバウム役のブラピもいい味出してます。
そういえばマネーモンスタージョージ・クルーニージュリア・ロバーツ)もそろそろレンタルされているはず。そっちも見てみたくなる今日この頃です。
 
秋の夜ながに経済コメディー、もといドラマを見るのもオツかもしれません。 

小説「蒲団」田山花袋、を久しぶりに読んでみた

いや、これかよ、って思うにちがいない。しかしこれは、れっきとした変態・純愛・私小説だ。文学史的には自然主義と呼ばれるんだけど、フランスに始まると言われる自然主義は客観的な描写が特徴なのに、日本では私事を赤裸々に暴露することになってしまい、なんだかな〜って感じだ。でも、日本の文学史的には蒲団が自然主義の方向を決定付けたってことらしい。個人的にはシンプルに「私小説」というカテゴリーがしっくりくるんだけど。やっぱり「暴露」と客観的描写は今ひとつしっくりこない。
 
この私小説、どこまで本当かは置いておいて、ある程度本当だとすれば、すごい暴露っぷりだ。
何でまた私の中学時代の国語教師はこの小説を学生に紹介したのだろう。疑問はつきないが、名作であることには変わりない。
 
かいつまんで言えば、40手前の小説家が20代の教え子に恋い焦がれてしまい、教え子の蒲団に顔を埋(うず)めて絶叫する小説だ。
 
今の感覚だと、そこそこのスキャンダルなのだが、れっきとした純文学だ。そういうのが流行った時期なのだ。そう、昭和はとても動物的というか、人間的です。まだ人間の野生が残っていたように思う。自分の色恋沙汰をてらいもなく私小説として本に出来たのだ。スキャンダルもくそもない。(記者)「不倫なんで不謹慎じゃないですか?」(小説家)「で?」「それがどうした?」である。ほんと、マジですか?だけど。しかし一般人が真似すると、それはダメ〜、となるだろう。まだ不倫の意味も女も知らない中学生が、なんだかわからないけど小説家ってすごいな〜と思ったものだ。

せっかくなので、久~しぶりに読み直してみたら、まじですごい。大人になってから読むと、全然違うおもしろさがある。
ある程度時間をおいて読み返すと、明らかに受け取り方が違う。そのギャップの分だけ自分が変わったということだろう。
導入はこんな感じだ、
 
「数多い感情ずくめの手紙・・・二人の関係はどうしても尋常ではなかった。妻があり、子があり、世間があり、師弟の関係があればこそ敢えて烈しい恋には落ちなかったが、語り合う胸の轟、相見える目の光、その底には確かに凄まじい嵐が潜んでいたのである。機会に遭遇(でっくわ)しさえすれば、その底の底の暴風はたちまち勢いを得て、、、、」(本文より引用)
 
おいおい、おーい。だろう。
まだまだ序の口。
 
ここからさきは是非読んで確認してほしい。とにかくぶっ飛んでいる。
 
しつこいようだけど、やっぱりこれを自然主義文学って言われてもピンとこない。
秋霖の季節に読むには、ウエットすぎるかもしれませんね。
 

 

蒲団

蒲団