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Consideration of an office worker living in Tokyo

時季外れの年越しそばの話

年越しそばと聞いてどんなお蕎麦を思い浮かべるだろう。

私の場合は天ぷらそばなのだが、家でつくるのはハードルが高い。揚げたてでないと美味しくないからだ。百歩譲って揚げたてを惣菜として購入し乗せてもいいのだが、条件が一気に狭まる。揚げたて感を維持できる距離で家に着き、なおかつすぐに蕎麦に乗せられるように段取らなければならない。そうでなければ、揚げてからしばらく経ったものや、いつ作ったのかもわからない日持ちする天ぷら?でつくることになる。だったら、だまってカップ麺の方が潔いい感じがする。でもやはり年越しそばはエビ天だろうなぁ。
まあ、お雑煮同様家によりけりなのだろう。

 

かく言う私はこの年末の年越しそばは、春菊そば天そばにいたしました。

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もちろん春菊天loveだからにほかなりませんが。外で食べる春菊天そば、結構お店によって品質にばらつきがある。ヘンな店だとゲロまずい古い油まみれの天ぷらを食わされる羽目になる。


で仕事場の近所で一番好きなのが、渋谷周辺に展開している「吉そば」の春菊天だ。まず、お店自家製なので揚げたてなのだ。しかも春菊たっぷりで満足度抜群。春菊がぎっしりで油もきっちりキレているやつを、だし風味がしっかりしたつゆでいただくのだ。


それにしても、この天ぷらの油と出汁の組み合わせって、すごい発明だと思っている。油の旨味と出汁の旨味の融合で完璧な大人のデカダンスdécadenceを形作っているのだ。スバラシイ。

どう考えても江戸時代からのものだろうと思って調べてみると、やっぱりそうだった。文政10年1827年の川柳に「天ぷら蕎麦」の記載がある。確かに蕎麦も天ぷらも屋台であった時代だから、組み合わせるのも時間の問題だったのだろう。100年以上前からこんなに美味いものを庶民が食べていたとは、江戸時代恐るべし。ヨーロッパはまだ16世紀から17世紀は魔女狩りやっていて、庶民にナイフとフォークが出回るのが16世紀以降だ。それまでは上流階層のみがフォークを使っていたのだ。
つまり16世紀の江戸時代に一度世界一の経済大国になっている。その後、イギリスの産業革命でヨーロッパが一抜けて、白人以外を植民地にする帝国時代に突入という訳だ。

 

と話を元に戻すと、今回はなかなか手のでないエビ天の手作りという作業は避け、比較的少量の油で作りやすいかき揚げ、その中でも好物の春菊天を選択するに至ったのです。
作り方はいたって簡単、刻んだ春菊にコツのいらない天ぷら粉をまぶしながら頃合いをみて少しずつ水を加えて混ぜていきます。切り方が長めだとまとめるのが難しいので、5cmほどにカットします。あとは木ベラに乗せて油に投入しゆっくり揚げる方法です。これだと頑張ればフライパン1cm程度の油で可能です。頃合いを見ながらフライパンを傾けて揚げていきます。

 

晦日当日は写真の天ぷら蕎麦でいただき、残りは翌日春菊天の天丼にしていただきました。天抜きでオカズにするのもオススメです。

個人的には砂糖やみりんを抑えた出汁風味の強いつゆを作っていただくのもイイですね。