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Consideration of an office worker living in Tokyo

小説|燃え尽きた地図 安部公房

んっ、いきなりこれ、って感じなんだけど。確かにいきなり安部公房です。その安部公房にしても、他にもあるじゃん「砂の女」とか「箱男」とか・・。でもやっぱりこれから紹介します。
これには訳がある。今までで一番本や雑誌を部屋に置いていたのは、数年前に海外赴任する前までだ。ワンルームの壁面全てを本棚にして、ざっくり2000冊ぐらいあったかと思う。正直、筋金入りの本好きには遠く及ばない数だが、、、。内訳はいわゆる本は800冊、他雑誌などが1200冊だ。このままでは引っ越しできないため、ざっくり1200冊まで減らした。つまり処分した。売れば良いとかいろんな考えがあると思うが、実際に売ってみたことがある人はわかるだろう。ほとんど二束三文なのだ。他人から見た人の本なぞそんなもんだ。下手すると量によっては処分費すら要求される。なのでいわゆる処分にした。そして残りは実家に置いてある。バタバタで赴任しているので未だに置きっぱなし。これも課題なんだよな〜、、、と、そろそろ本題に入る。
 
本棚をジャンル別にみると、いわゆる文学はぐっと減ってしまうのだが、どちらかといえば建築美術などのアート関連からビジネス書などの実務系、そして様々なムック系・・これは雑誌が多い。そしてその少ない小説ジャンルでこの作品だけは何度も文庫を買って読んでいる。
 
この小説。昭和ネタ満載なので実経験を基にした情景理解は40歳台までがギリギリだろう。30歳台以下は想像力でカバーするしかない。かくいう私も小学生前半の10歳(80年台)までの記憶を掘り起こす楽しみがあるのでやっぱり安部公房は特別なのだ。もちろん他にも昭和前半を題材にした小説家はたくさんいるのだが、これは一度読んでみてほしい。とにかく情景描写が細かいのだ。
ジャンルは探偵小説なのだが、導入からしてしびれる。
 
ストーリーはいわゆる失踪モノだ。物語の時代は昭和42年。私の世代が生まれた頃、つまり親の世代、今の60台から70台の人が現役時代のころだ。これは読む年代で感覚が全然違ってくる。
なにか、こう、なんかの映画の雰囲気を想像してしまう。何の映画だろうか、と考えていると、はたと思いついた。そうロマン・ポランスキー監督の「フランティック」だ。そういえばこの映画も失踪モノだ。
燃え尽きた地図はダンナ、フランティックは奥さんが失踪する。そして似ているのが、その追跡のトーンみたいなモノだ。一言でいうと不条理なのだ。追いかけても追いかけてもたどり着かないもどかしさを描いている。
 
なので、フランティックはユーザー評価が振るわない。いや、伝わり辛いといったほうがいいだろうか。なんとなく、燃え尽きた、のほうにも同じ様な感じを受けるのだ。
 
でも、やっぱり読んでしまう、観てしまうのはなぜだろうか。
いやちょっと失敗したかな、、、寝付きの悪い夜になりそうだ。
 

 

燃えつきた地図 (新潮文庫)

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